入選1位 「しがらみの 自在の揺れに 道あらず」 有泉政弘 入選2位 「杖の音 一歩下りて 道譲る」 佐野薫 入選3位 「道端の 枯葉で止まる 車いす」 和久 入選4位 「白杖よ 花と作句の 八十路坂」 井口貞子 入選5位 「手をつなぎ 声をかけあい 越える坂」埜村和美 審査員からの講評 自然体が良い  竹内冬眠 第1回の試みとしては、両分野とも良質の作品に恵まれたといって良いのではないか。その意味で今後の2回以降が楽しみである。 ただ詩・川柳の応募の層はおおまかに言って、詩は書き馴れた人が多く、川柳はその多くのが初心者で、気軽に思いついたまま、心のままを作品化した感じが強い。  どちらの分野の応募者も肩肘張らずに自然体であるのに好感がもてた。 入選1位 「しがらみの 自在の揺れに 道あらず」 有泉政弘 竹内冬眠からの講評:季語が無いので川柳のジャンルに入っているが、句作の姿勢はまさしく俳句。下五の「道あらず」に心の揺れに厳しい選択を示している。 入選2位 「杖の音 一歩下りて 道譲る」 佐野薫 評:中七がぎこちない。いっそ「杖の音 道をゆずりて 空は晴れ」と素直にうたい流して、下五を考えては? 掲出の下五は選者の勝手な思い。 入選3位 「道端の 枯葉で止まる 車いす」 和久 評:枯葉のかすかな囁きに車いすを止めた作者の優しい心根 入選4位 「白杖よ 花と作句の 八十路坂」 井口貞子 評:やや人為人工を感じてしまう。良く言えば出来過ぎ。でもうらやましい80才。 入選5位 「手をつなぎ 声をかけあい 越える坂」 埜村和美 評:下五の「坂」を越えるにさりげなく加齢を重ねている。あまり気張らないのが良い。 以下、応募された川柳 ・障害に 負けぬ人生 夢五輪 島崎慎一朗(知的) ・税金も 心の中の 助け合い 島崎慎一朗(知的) ・障害も 人を助けて 勇気舞う 島崎慎一朗(知的) ・感謝して 学んだ言葉 ありがとう 恵風(精神) ・やさしさは 誰もがもってる あたたかみ 恵風(精神) ・前向きな 力があるよ 笑顔には 恵風(精神) ・ふれあって ボケ防止をと 笑い合う 岡部恵子(視覚) ・歩くこと 万物の根源 アルケーだ 石井洋(精神) ・しがらみの 自在の揺れに 道あらず 有泉政弘(肢体) ・さみしさが 本も読みたり 老いゆくも 有泉政弘(肢体) ・寒冷や 穂積の風の 柚子の色 有泉政弘(肢体) ・車いす でこぼこ道を 酔いながら 司馬ショウタロウ(肢体) ・人間の ハンディ持った 生きものだ 司馬ショウタロウ(肢体) ・心底の 優生思想 消え去れよ 司馬ショウタロウ(肢体) ・声かけが 危ない時の ホームドア 矢崎繁(視覚) ・緊急時 その場で自身 身を守れ 矢崎 繁(視覚) ・支えあい 介護の支援 増えてゆき 名犬ポチ(精神) ・笑みもらう ケアーの仲間に 感謝する 名犬ポチ(精神) ・自閉でも お腹が減るし 歌もでる 名犬ポチ(精神) ・多目的ホール いろいろやって 楽しいな 奈良圭司(知的) ・食事会 何を食べるか 考える 奈良圭司(知的) ・寒くなり 家を出るのが たいへんだ 奈良圭司(知的) ・ひまわりの 明るい笑顔に 希望わく 大柴洋子(身体) ・秋雨に 肩を寄せ合う 二人づれ 大柴洋子(身体) ・囲炉裏端 皆が集い 懐かし 大柴洋子(身体) ・気がつけば 蛙の声が 鳴り響く 遠藤優子(身体) ・キラキラと 暑い森中 飛ぶトンボ 遠藤優子(身体) ・銀杏を 拾い集めて 比べっこ 遠藤優子(身体) ・車椅子 道のデコボコ すべて知る 片平徳男(身体) ・我が自慢 車イスなら A級かな 片平徳男(身体) ・悪口も 控え目なりや 言語障害 片平徳男(身体) ・川端に 乱舞している 蛍かな 安藤康夫(身体) ・新米に 秋の味覚で 舌つづみ 安藤康夫(身体) ・銀杏を 食べる時期なり 嬉けり 新海亜希江(身体) ・コスモスの かれんな花に 秋を知る 新海亜希江(身体) ・盆踊り 夏の一日 楽しめり 新海亜希江(身体) ・杖の音 一歩下りて 道譲る 佐野薫(心臓機能) ・障害に 添いて不自由 愛求め 佐野薫(心臓機能) ・手を上げて ありがとうの声 常に持ち 佐野薫(心臓機能) ・過去も無し 大統領にも なれぬなり みずい定(肢体) ・選挙では 銃の一字が 禁句なり みずい定(肢体) ・お隣に まただまされる 外務省 みずい定(肢体) ・失敗を して怒られて ショックだな マーク(知的) ・ノンアルコール どんな味かを 知りたいな マーク(知的) ・お友達 喧嘩するけど いいものだ マーク(知的) ・手をつなぎ 声をかけあい 越える坂 埜村和美(視覚) ・「おはよう」と 笑顔がかわす 白い息 埜村和美(視覚) ・夕立に 傘さしくれる 部活の子 埜村和美(視覚) ・障害に 負けずに生きよう 元気良く 井上貴広(身体) ・障害を 不便に思わず 生きていく 井上貴広(身体) ・障害を もってみなけりゃ わからない 井上貴広(身体) ・もう一度 興してみたい 妻の乱 中村洋子(視覚) ・あの人は まるい月まで つれて逝く 中村洋子(視覚) ・白い杖 温いて声の 中にいる 中村洋子(視覚) ・家族愛 あっていじめに 耐えられた 井口貞子(視覚) ・母のむち 受けてきたから 今がある 井口貞子(視覚) ・白杖よ 花と作句の 八十路坂 井口貞子(視覚) ・妻手引き 支えられての 人生愛 穂阪和宏(視覚) ・行く先で 声をかけられ 足弾み 穂阪和宏(視覚) ・北風を 小僧と思えば 寒くない 穂阪和宏(視覚) ・パニクるが 皆の心 支えるよ 廣瀬昭美(精神) ・スタッフの 笑顔に心 温まる 廣瀬昭美(精神) ・支えるよ あなたの言葉に 胸を打つ 廣瀬昭美(精神) ・どれぐらい 自分がすきか 自撮り棒 中曽根暁美(精神) ・自宅にて 思いを交わす ICT 渡辺和久(身体) ・道端の 枯葉で止まる 車いす 渡辺和久(身体) ・病床で あくびを一つ 老いた父 渡辺和久(身体) ・こつこつと 日々のリハビリ 頑張るぞ 中込千恵(肢体・体幹) ・なつメロの 声高らかに デイの風呂 石井敏子(肢体) ・初夢の 中で語る 二人かな 石井敏子(肢体) ・都会より 田舎はのどき 日暮かな 石井敏子(肢体) ・デイサービス しらぬ同士が つれになり H・A(肢体) ・秋の日に ひときわ目立つ 山茶花のはな H・A(肢体) ・病癒え 久々に友と会い 我がことのように嬉しい H・A(肢体) ・要介護 農園仕事 楽しいね 秋山章(肢体) ・実り秋 ふるさと畑 収穫時 秋山章(肢体) ・百日草 一輪残し 秋がゆく 一宮照子(肢体) ・ふるさとの 笑顔優しく 今日も行く 一宮照子(肢体) ・ふるさとで 元気もらい 足取り軽く 帰路につく 中込ためよ(肢体) ・かかとくん 動いてほしい 十分に 手塚一男(肢体) ・水のみに 母の後ゆく 子ザルくん 手塚一男(肢体) ・ふるさとへ 行く日は起きる 楽しみに H・U(肢体) ・朝寝して 昼は昼で 夜もまた寝る H・U(肢体) ・ふるさとの かぼちゃのうまさ 食べに来た K・O(肢体) ・手をつなぐ 笑顔の支援 ありがとう 渡辺裕士(知的) ・みなえがお 朝の会から 帰りの会 渡辺裕士(知的) ・歩きたい 夢と大地を 踏みしめて 井上覚(身体) ・干し柿や オシロイそっと 薄化粧 水越一成(身体) ・リハビリを 継続すると 増す笑顔 水越一成(身体) ・カラオケは 局選びが 楽しいな 松崎順子(身体・知的) ・山々の 見晴らしがいいよ 山梨は 松崎順子(身体・知的) ・リハビリを 汗をかきかき がんばるぞ 松崎順子(身体・知的) ・木枯らしに 枝で踏ん張る 落ち葉かな ルージュバック(身体) ・胃薬を 飲み過ぎるより だいこんさ ルージュバック(身体) ・鍛えてる 背筋腹筋 笑顔金 ジュールバック(身体) ・七五三 知人の娘 お姫様 リョーマ(身体) ・火の用心 落ち葉でたき火 懐かしい リョーマ(身体) ・かわいいね 孫らの声に 有頂天 榊原佳美子(視覚) ・大笑い 病の魔の手 撃退す 榊原佳美子(視覚)  ・想像力 ハンデの有無に 差など無く 榊原佳美子(視覚)  ・リクエスト 曲が流れて ふるえてる 清水明則(肢体・精神) ・いたずらに いじめいじわるいやがらせ いたわりなくば いやされめやも 横山治之(気分障害)